感染性胃腸炎の治療

感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされる感染症です。現在のところ特別な治療方法はなく、現れた症状に対しての対症療法が主な治療となります。症状別にどのような治療を行うのかを解説します。

感染性胃腸炎に罹ると、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛、全身倦怠感などの症状が現れます。下痢や嘔吐により脱水症状を引き起こすこともあります。

ウイルス性の感染性胃腸炎には特別な治療法はなく、対症療法を行い、症状の改善を目指します。細菌性の場合も対症療法を行い、追加として抗生物質を投与して治療することが可能です。

※嘔吐の対症療法

嘔吐開始後、3~4時間は、食塩とブドウ糖を含む経口補水液を少しずつ間隔をあけて補給します。次の3~4時間では消化に悪い乳製品は避けて、お茶やリンゴジュースを少しずつ摂ります。嘔吐症状が強く出ていて、脱水症状が見られる場合には、外来で点滴を行ったり、入院して持続的に点滴を行う場合もあります。吐き気を抑える薬のナウゼリンは、頭痛やめまい、眠気などの副作用があるため、子供には使いすぎないようにしましょう。

※下痢の対症療法

下痢は体内から病原体を排出しようとする防衛反応の1つであるため、下痢止めは使わないようにします。その分、脱水症状が起こらないようにしっかりと水分補給します。下痢は食事療法での治し方が基本で、おもゆや野菜スープ、すりおろしりんごなどから始め、おかゆやうどん、ヨーグルトや豆腐などの消化によいものを摂るようにしましょう。食事は1回に摂る量を少なくし、1日5~6回ほどに回数を増やして摂るようにします。食材はなるべく細かく切り、やわらかく煮込むことで胃や腸にかける負担を減らします。脂肪の多いものや菓子類、野菜やきのこ、こんにゃくや海藻類、香辛料やニンニクなども下痢を起こしやすい食材なので控えましょう。

※発熱の対症療法

必要に応じて解熱剤を投与します。吐き気がある場合は座薬を使用し、下痢が続いている場合は内服薬を使用します。

☆大切なポイント

・絶食

感染性胃腸炎では絶食にして胃と腸を安静にすることが治療の第一歩です。体力をつけるためといって無理してお粥やスープなどを食べるのは、胃腸に負担をかけることになり、回復を遅らせてしまいます。

・充分な水分摂取(脱水予防)

下痢や嘔吐に加えて絶食を続けると脱水症に陥ってしまいますので、充分な水分摂取が必要になります。最低でも1日に約1000 mlから1500 mlは必要です。点滴による補給の他、水・麦茶・ほうじ茶・ウーロン茶・スポーツドリンクなど、カフェインの少ない胃腸に優しい飲料水を補給してください。果汁(ジュース)・牛乳・ヨーグルトは胃腸に負担がかかります。吐き気がある時は、一度にたくさん飲むと嘔吐や下痢を誘発しますので、少量ずつこまめに摂取するのがコツです。

・お薬

病状に応じて、整腸剤、制吐剤、抗生物質、解熱剤などを服用していただきます。吐き気が強くない限り、絶食中もお薬は服用してください。

感染性胃腸炎の予防法は?

感染性胃腸炎って、微生物(細菌,ウイルス,原虫など)の経口感染によって起こり、下痢や悪心,嘔吐、時に腹痛,発熱などの症状をきたす疾患群を指します。汚染された水や食物の飲食を介した食中毒として起こる場合や、集団発生する場合もあります。

感染性胃腸炎にならないためには、次のポイントに注意をして予防を心掛けましょう。

◎食品の加熱や調理には十分気をつけること

ウイルスや細菌は熱を加えると死滅するものが多いので、病原体が含まれている可能性のある食品は、中心部までよく加熱します。

また、食べ物を扱った調理器具は放置したままにせず、すぐに洗うようにしましょう。その際も熱湯処理をすると付着した細菌やウイルスが落ちやすくなります。

◎手洗い・うがいの励行

最も基本的なことは、手洗い・うがいの励行です。帰宅時、特に排便後、また調理や食事の前には石けんと流水で十分に手を洗いましょう。このような習慣づけることで、細菌やウイルスの感染を防ぐことができます。

◎調理と配膳

・調理の前と後で流水・石けん(液体石けんが推奨されます)による手洗いをしっかとと行いましょう。

・貝類をその内臓を含んだままで加熱調理する際には十分に加熱して調理し、貝類を調理したまな板や包丁はすぐに熱湯消毒しましょう。

・食事を配膳する際にも手洗いをすることが勧められます。特に自分が下痢や吐き気がある場合は必ず行ってください。

◎感染者の嘔吐物などを扱う時は慎重に

・ノロウイルス感染症の場合、おう吐物や下痢便には、ノロウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。放っておくと感染が広がりますので、早く処理する必要があります。

・処理後は、塩素系の消毒剤や家庭用漂白剤で消毒しましょう。

◎タオルの共有や同じ湯船に入らない

感染者の使用したタオルには細菌やウイルスが付着している可能性もあることから、同じ物を使わないようにしましょう。

また、お風呂もできれば別にした方がよいですが、小さなお子さんと入る時などはシャワーなどで感染者の体全体をよく洗い流してから湯船に浸かるようにしましょう。

急性胃腸炎の予防について

手洗いやうがい、食べ物への注意が必要なのはもちろんですが、現代病の一つともいわれているのが「ストレスによる急性胃腸炎」です。

急性胃腸炎とは突然に胃や腸の調子が悪くなってしまって下痢や嘔吐を繰り返してしまう病気です。今、急性胃腸炎が流行っていますね。

また、急性胃腸炎の多くは感染性胃腸炎で、その原因はウイルスと細菌によるものだと言われています。細菌による急性胃腸炎の中でも、病原体に汚染された食べ物が原因であれば食中毒となりますが、感染性胃腸炎ではウイルスによるものが圧倒的に多いとされています。

ここで、その予防方法を詳しく調べてみましょう。

Ⅰ・予防において最も大切な事は「手を洗う」ことです。

ウイルスの感染を防ぎ、二次感染の予防にもなります。

※外出後、トイレ後、ご飯の準備前に、石鹸で手のひらや指先、指の間や爪の中をよく洗い、流水で一分ほどすすぎます。特に排便後や、調理や食事の前には石けんと流水で十分に手を洗いましょう。

※手をふくタオルはこまめに変え、感染した人とタオルを分けます。

Ⅱ・食品調理

※ノロウイルスが付着している貝類(特にカキなどの二枚貝)などを調理するときには十分に加熱をしましょう。中心温度85℃以上で1分間以上の加熱が必要です。

※生の食品はできるだけ口にしないようにしましょう。

※調理器具は漂白剤に付けるか、熱湯で15分以上消毒をします。

※食品は賞味期限を確認して、古くなった食べ物は、少しでも賞味期限が切れていたら思い切って捨てましょう。

Ⅲ・便や吐瀉物を処理する場合

感染性胃腸炎の場合、接触感染や経口感染などで人から人へと感染していきます。特に、感染している人の嘔吐や下痢などを処理した後の不十分な手洗いが原因となることも多く、汚物処理後や調理・食事前の手洗いを励行することは重要です。また、このような処理をする場合は、手袋やエプロンなどがあれば使用し、直接触れないようにしましょう(手袋を使用していても、処理後の手洗いは必ず行います)。

※手の傷に注意

手や指に傷がある場合、そこに菌が付着している可能性があります。黄色ブドウ球菌による食中毒は菌が産生する毒素によって起こります。この毒素は加熱してもなかなか破壊されません。絆創膏などで覆っても毒素が食材につくことがあります。手や指に傷がある場合には調理を避けるか、手袋をして調理をすると良いでしょう。

※消毒をする

汚物がついてしまった衣類やタオルは袋に入れて周囲に汚染しないようにし、85度で1分間以上の熱湯消毒か次亜塩素酸ナトリウムで消毒するようにしましょう。次亜塩素酸は、家庭用の塩素系漂白剤で代用できます。

※その他家庭内でできること

家庭内に感染者がいる場合は、手洗い後のタオルなどは共用せず個別にします。お風呂に入る場合も、症状のある人は最後にし、湯船のお湯は使い回しなどはせずに毎日変えるようにします。また、使用後は浴槽・壁・床・椅子なども十分に洗剤で洗いましょう。

Ⅳ・予防接種を受ける

胃腸炎の原因の一つにロタウイルスがありますが、このロタウイルスは乳児を対象に任意で予防接種を受けることができます。

ⅴ・体を温める+免疫力をあげる

体を温めることと免疫力をあげることによって、病気から体を守ることになります。

※毎日お風呂で浴槽に入り体を温めます。

※睡眠を充分に取ります。

※バランスの取れた食事をしましょう。

※運動不足にならない程度の適度な運動が必要です。

※規則正しい生活になります。

これらを完璧にこなすのは難しいですが、できるだけ実践することで病気にかかりにくい体つくりをしていきましょうね。